こんにちは。大阪府豊中市にある中垣歯科医院の院長、中垣です。
本日は、「なぜ年齢とともに歯周病は増えるのか?」というテーマでお話ができればと思います。
歯周病は細菌だけの病気ではないということをご存知でしょうか?
「年を取ると歯が悪くなるのは仕方がない」
そう思っている方は少なくありません。
しかし、実際には年齢そのものが歯周病を起こすわけではありません。
歯周病の直接の原因は歯周病菌ですが、同じように細菌がいても歯周病になる人とならない人がいます。
その違いを生むのが、「歯周組織の抵抗力」です。
若い頃は多少細菌が増えても、身体にはそれを抑える力があります。
ところが加齢とともに、その力が少しずつ低下していきます。
つまり歯周病とは、細菌だけの問題ではなく、「身体の老化によって起こる抵抗力の低下」が深く関わる病気なのです。
▍老化によって最初に衰えるのは血流
歯ぐきも皮膚や筋肉と同じく、生きた組織です。
健康な歯ぐきには無数の毛細血管が張り巡らされ、「酸素」「栄養素」「免疫細胞」を運んでいます。
しかし加齢とともに血流は低下します。
すると歯ぐきの細胞は十分な酸素や栄養を受け取れなくなり、修復能力が落ちていきます。
傷が治りにくくなるのと同じように、歯周組織も回復しにくくなるのです。
慢性炎症が身体を老化させる老化研究の分野では、「Inflammaging(インフラメイジング)」という概念があります。
これは、Inflammation(炎症)とAging(老化)を合わせた言葉です。
年齢を重ねると身体の中では目立った症状がなくても、ごく弱い炎症が持続するようになります。
この慢性炎症が、「動脈硬化」「糖尿病」「認知症」「がん」など、多くの病気に関与すると考えられています。
実は歯周病も同じです。
歯周病は歯ぐきの慢性炎症であり、老化と共通のメカニズムで進行します。
▍活性酸素は身体を守る一方で老化も進める
私たちの身体は細菌と戦うために活性酸素を作ります。
活性酸素は重要な防御システムですが、過剰になると正常な細胞まで傷つけてしまいます。
これを酸化ストレスといいます。
歯周病が進行すると歯ぐきの中では大量の活性酸素が発生します。
その結果、「コラーゲンの破壊」「歯周組織の損傷」「骨吸収の促進」が起こります。
これは皮膚のシワや血管の老化と同じ現象です。
▍細胞のエネルギー不足が歯周病を悪化させる
私たちの細胞にはミトコンドリアという小さな発電所があります。
ミトコンドリアはATPというエネルギーを作り出しています。
ところが、加齢、睡眠不足、ストレス、栄養不足、慢性炎症によってミトコンドリアの働きは低下します。
すると歯ぐきの細胞も十分なエネルギーを作れなくなり、修復力の低下、免疫力の低下、治癒力の低下が起こります。
近年、歯周病とミトコンドリア機能の関係にも注目が集まっています。
▍歯周病治療は細菌だけを見ていては不十分
従来の歯周病治療は、歯石を取る、プラークを除去することが中心でした。
もちろん非常に重要です。
しかし、それだけでは再発を繰り返す患者さんがいることも事実です。
なぜなら、細菌が減っても、慢性炎症、酸化ストレス、血流低下、栄養不足、細胞エネルギー低下が残っていれば、歯周組織の抵抗力は十分に回復しないからです。
歯周病予防は老化予防でもある歯周病を予防するために必要なことは、
・正しい歯みがき
・定期的なメインテナンス
・バランスの良い食事
・適度な運動
・良質な睡眠
・禁煙
・ストレス管理
です。
お気づきかもしれませんが、これは老化予防の基本とまったく同じです。
つまり、歯周病予防と老化予防は同じ方向を向いているのです。
▍口の中は全身の健康を映す鏡
私は歯周病専門医として多くの患者さんを診てきました。
その経験から感じるのは、歯ぐきの状態は全身の状態を映し出しているということです。
歯周病と老化は別々の問題ではありません。
どちらも、慢性炎症、酸化ストレス、細胞エネルギー低下という共通の根本原因から生じています。
だからこそ、歯周病を改善することは歯を守るだけではなく、健康寿命や若々しさを守ることにもつながるのです。
口の健康は、全身の健康への入り口です。
そして歯周病治療は、単なる歯ぐきの治療ではなく、未来の自分への投資でもあるのです。
何かお困りごとがございましたら、大阪府豊中市にある中垣歯科医院までお気軽にご相談ください。





